農林水産省
農林水産省は、森林における放射性物質の分布状況調査等を進めています。
このたび、独立行政法人 森林総合研究所が、スギの雄花とその内部の花粉に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果(福島県他15都県のスギ林182箇所)を、取りまとめました。
調査の結果、スギの雄花に含まれる放射性セシウム(Cs134+Cs137)の濃度は、最も高いスギ林で1キログラム(乾燥重量)あたり約25万ベクレルとなりました。
なお、本取りまとめは、平成23年12月27日にプレスリリースした「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について(中間報告)」を含む、全調査地点の結果です。
1.調査目的
農林水産省は、現在、森林における放射性物質の分布状況調査等を進めています。
このうち、スギの葉に含まれる放射性セシウムについて、これまで調査を行ってきましたが、こうした放射性セシウムがどの程度、花粉に存在するかは明らかになっていないことから、その科学的知見を把握する必要があります。
このため、農林水産省は、独立行政法人 森林総合研究所と国立大学法人 名古屋大学の協力を得て、スギの雄花とその内部の花粉に含まれる放射性セシウムの濃度の調査を実施しました。
2.調査の内容
(1)調査箇所
福島県他15都県のスギ林182箇所
※福島県内は132箇所。福島県以外の15都県は、栃木県、群馬県各7箇所、茨城県6箇所、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県各3箇所、青森県、岩手県、秋田県、山形県、山梨県、静岡県各2箇所。
(2)調査期間
平成23年11月25日(金曜日)〜平成24年1月31日(火曜日)
(3)調査方法
調査箇所のスギ林で、放射線空間線量率を調査するとともに、立木の枝葉を数本切り落とし、雄花を採取しました。
採取した雄花は、ガンマ線スペクトロメトリー(注)により、セシウム134及びセシウム137の濃度を測定しました。
(注)放射性核種からのガンマ線は、それぞれ固有のエネルギーを持っています。「ガンマ線スペクトロメトリー」とは、ガンマ線のエネルギー分布を測定することにより、放射性核種の種類と放射能を同定する方法です。
また、福島県内の4箇所のスギ林については、雄花と併せて旧葉、新葉を採取するとともに、採取した雄花を切断して内部の葯(やく)から花粉を取り出し、これらに含まれるセシウム134及びセシウム137の濃度を、ガンマ線スペクトロメトリーにより測定しました。
3.調査の結果
全調査箇所(182箇所)の雄花に含まれるセシウム134及びセシウム137の濃度の測定結果を、別添のとおり、取りまとめました。
その結果、スギの雄花に含まれる放射性セシウム(Cs134+Cs137)の濃度は、最も高いスギ林で1キログラム(乾燥重量)あたり約25万ベクレルとなりました。
なお、福島県内4箇所で採取したスギの雄花とその内部の花粉に含まれる放射性セシウム(Cs134+Cs137)の濃度を比較したところ、およそ同程度のレベルでした(参考1を参照ください)。
また、スギの花粉に含まれる放射性セシウム(Cs134+Cs137)の濃度を、仮に、今回の調査で測定したスギの雄花の最高濃度(25.3万Bq/kg)と同一とした場合、当該花粉が大気中に飛散し、これを人が吸入した場合に受ける放射線量を一定の前提条件を仮置きして試算したところ、1時間あたり0.000192μSvとなりました(参考2を参照ください)。
※平成23年12月27日プレスリリース(前回公表分)からの追加内容
・福島県内132箇所のうち、前回公表分(87箇所)以外の45箇所の調査結果
・福島県以外15都県内50箇所の調査結果
<添付資料>
(別添)スギ雄花等に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果(PDF:575KB)
(参考1)スギの雄花や花粉等に含まれる放射性セシウムの濃度(PDF:83KB)
(参考2)人体が受ける放射線量の試算(PDF:94KB)
(参考3)スギの花粉について(PDF:389KB)
お問い合わせ先
林野庁森林整備部研究・保全課森林保全推進室
担当者:松本、山口、菊地
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農林水産省プレスリリース
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/120208.html
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