食品安全モニターからの報告(平成23年3、4月分)について発表がありました。◇【放射性物質】について
○ 山陰地方にも「セシウム」が確認
大気中のちりから福島第一発電所事故の影響とみられる、健康には影響のない程度の微量のセシウムが確認された。風評をなくすことはできないが、葉物野菜を作っている者にとっては注意をしたいものだ。
(鳥取県 男性 60 歳 食品関係業務経験者)
○ 放射能被災による乳幼児に対する摂水制限について
東日本太平洋沖地震による放射能被災により、乳児にミルク等を飲ませる場合に水道水を使用しないほうがよいとの報道がされたが、同時に、乳幼児の離乳食に対する配慮もされるべきなのではなかったかと思う。浄水場でのろ過方法の改善もできないものだろうか。
(愛知県 女性 51 歳 その他消費者一般)
○ 福島原発事故の影響について
今回の原発事故による放射能汚染に大きな関心を持っている。安全の基準値を将来を見こして科学的に判断し、再考してほしい。正しい情報を、わかりやすく、マスコミ等に積極的に発信してほしい。
(岡山県 女性 63 歳 医療・教育職経験者)
○ 安心を望む国民、安全を言い張る行政
今回の大災害では、食品に対する安全と安心が混在した議論で、国民が「安心」して食べられなくなっているために多くのものを捨てている。国民が冷静・賢明になって、放射能の影響や被害を適切な方法でしっかり避けながら、偏りなく何でも食べることで危機は乗り切れると思う。
(兵庫県 男性 64 歳 食品関係業務経験者)
○ 放射性物質について
未曽有の被害から1 か月過ぎ私達の生活にかかすことのできない食に影響がでている。福島、茨城、栃木、群馬で基準を超える放射性物質が検出された。日本は農業大国です。政府には手厚い保護を望みます。
(新潟県 女性 38 歳 その他消費者一般)
○ 放射性物質年間積算の安全性評価指針
現在の政府発表内容は、多くの国民に食品や環境の安全性を納得できるものではない。原発事故の長期化に伴い、年単位の累積汚染を基準とした安全性評価指針を示し、食品をはじめ汚染への自覚と行動を促したい。
(埼玉県 男性 67 歳 食品関係業務経験者)
○ 福島原発事故によって放出された放射性物質の食品への影響
震災による福島原子力発電所の事故によって放出され続けている放射性物質が、広範囲に飛散しているとの情報があり、既に農産物への影響も出ており、出荷停止命令が出ていない地域から出荷された農産物でも、食べることによる将来的な健康被害がとても不安です。
(三重県 男性 39 歳 食品関係研究職経験者)
○ 放射能の土壌汚染による稲作制限について
放射性セシウムが土壌1kg 当たり5000 ベクレルを超えた場合、米の作付を制限するとの発表がありました。作付時期が近いからといって基準を簡単に決めるのではなく、食品安全委員会が放射性物質に関して何回も会議を行ったように、専門家を交え、総合的にデータ収集、分析、検討をするべきではないでしょうか。
(群馬県 男性 35 歳 食品関係業務経験者)
○ 農作物放射能汚染に関する国の管理体制について
福島原発に係る農作物放射能汚染問題について、科学的根拠と長期的視野に基づいて、安定した食の安全性確保のための供給ラインを早急に策定し、管理していく体制を構築する必要がある。
(東京都 女性 33 歳 医療・教育職経験者)
○ 放射性物質のヒトへの影響
東京電力のプレスリリースの記事によると、原発内で、ヨウ素、セシウム以外の多数の核種が検出されている。これらのヒトへの影響等が心配される。また、将来のリスクについて食品安全委員会には示してほしい。
(神奈川県 女性 40 歳 その他消費者一般)
○ 水産物の安全性を知らせて
福島原発からの汚染水が大量に海へ流出したことにより日本近海に生息する水産資源が被害を受けました。早期に水質調査をして安心して安全な水産物を消費者が口にできるようにしてほしいと思います。
(岡山県 男性 53 歳 その他消費者一般)
○ 土壌調査と米の安全性を
原発事故でコメの作付を制限されたり条件付けで出荷を許可された地区がある。コメの安全性を消費者に知らせるとともに出荷ができない農家への補償をお願いします。また、風評被害での米価の値下がりがないようにして下さい。
(岡山県 男性 53 歳 その他消費者一般)
○ 食品健康影響評価事業の新たな展開について
原発事故による食品健康影響評価事業として、食品中の放射性物質に関する基準値を設定し、全国に定点を設けて食品毎の検査体制の整備を図り、食品安全基本法の見直しや放射性物質研究者を委員に入れる必要がある。
(宮城県 男性 67 歳 食品関係業務経験者)
○ 放射性物質の健康への影響について
食品健康影響評価に関するワーキンググループ設置に期待する。安全性基準は大きな安全率をもって考えてほしい。またいろいろな場面で細かく検討して廃棄する食品ができるだけ少なくなればと思う。
(岡山県 女性 63 歳 医療・教育職経験者)
【食品安全委員会からのコメント】食品に含まれる放射性物質の健康に与える影響に関して、食品安全委員会としては、3月29日の「放射性物質に関する緊急とりまとめ」において、
・ 放射性ヨウ素について、年間50 ミリシーベルトとする甲状腺等価線量(実効線量として2ミリシーベルトに相当)は、食品由来の放射線曝露を防ぐ上で相当な安全性を見込んだものである
・ 放射性セシウムについて、国際放射線防護委員会(ICRP)の実効線量として年間10 ミリシーベルトという値について、緊急時にこれに基づきリスク管理を行うことが不適切とまで言える根拠も見いだせておらず、これらのことから、少なくとも実効線量として年間5ミリシーベルトは、食品由来の放射線曝露を防ぐ上でかなり安全側に立ったものである
としたところです。
〔参考〕○食品安全委員会放射性物質に関する食品の安全性について
「放射性物質に関する緊急とりまとめ」へのリンク
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_torimatome_bunki.html一方、この「放射性物質に関する緊急とりまとめ」は、東北地方太平洋沖地震に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所における事故直後の事態の緊迫性にかんがみ緊急にとりまとめたものであり、御指摘の乳幼児や妊産婦(胎児)に与える影響や、発がん性、ウラン・プルトニウム等についての検討などの課題が残されていることから、「放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ」を設置し、詳細な検討を続けているところです。
〔参考〕○食品安全委員会「放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ」へのリンク
http://www.fsc.go.jp/senmon/sonota/index.htmlまた、食品に関する不安や、放射線の基礎的事項等について「放射性物質と食品に関するQ&A」も作成しておりますので、御活用下さい。
「放射性物質と食品に関するQ&A」へのリンク
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_QA.pdf【厚生労働省からのコメント】○ 放射能被災による乳幼児に対する摂水制限について乳児の摂取に関する指標等については、甲状腺の発達が特に活発であり、専ら乳児用調整粉乳を摂取する乳児を対象として設定されたものです。離乳食への利用を含め、乳児以外が水道水を摂取する場合には、長期にわたり摂取した場合の健康影響を考慮して原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標値(放射性ヨウ素は300 Bq/kg、放射性セシウムは200 Bq/kg)が適用されます。
また、浄水処理工程における放射性物質の除去効果等、水道水中の放射性物質の低減方策についての検討を行い、各水道事業者等に対して、降雨後の取水の抑制・停止や浄水場の覆蓋、粉末活性炭の使用等、水道水中の放射性物質のレベルを抑えられる可能性のある取組について周知を行うとともに、各水道事業者等で対処可能な方策の実施を検討するよう要請を行っております。
○ 福島原発事故によって放出された放射性物質の食品への影響食品衛生法上の暫定規制値は、今般の原子力発電所事故を受け、食品の安全性を確保するために、速やかに規制を実施することが重要であると判断して、原子力安全委員会により示された飲食物摂取制限に関する指標値を暫定規制値としています。原子力安全委員会が定める指標値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告した放射線防護の基準をもとに、原子力安全委員会が1年間に許容できる線量及びわが国における食品の摂取量等を考慮して、食品カテゴリーごとに定めています。
なお、本規制値については、内閣府の食品安全委員会の緊急とりまとめにおいて、安全側に立ったものであるとされていますが、その後も食品安全委員会で評価が継続されており、評価結果を踏まえて再検討することとしています。
○ 食品健康影響評価事業の新たな展開について食品中の放射性物質については、現在、食品安全委員会においてリスク評価が行われており、厚生労働省としては、その評価結果に基づき、規制値の再検討をすすめることとしています。
また、食品中の放射性物質に係る検査については、厚生労働省において定めたガイドラインや最新の情報に基づく追加的な指示に基づき、自治体が主体となって実施されています。関係自治体は区域を設定した上で、検査計画を策定して検査を実施することで、暫定規制値を超える食品の流通を防止するよう努めています。
また、関係自治体が行う検査の体制確保については、厚生労働省において、国の研究所等を紹介するなどし、検査の速やかな実施に協力しています。
【農林水産省からのコメント】○ 放射能の土壌汚染による稲作制限について福島第一原子力発電所の事故発生後、稲の作付けの時期が迫っていたことから、生産した米が食品衛生法上の暫定規制値を超える可能性が高いところについて早急に稲の作付制限を行う必要がありました。
4 月8 日の「稲の作付に関する考え方」は原子力安全委員会の意見を聞いた上で、政府が決定したものです。作付制限については、最終的には土壌調査の結果などを踏まえて、4 月22 日、原子力災害対策本部長である首相が福島県に対して指示しました。
○ 水産物の安全性を知らせて農林水産省では、福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出を受け、3月24日から水産物の放射性物質調査を実施しています。
さらに、5月2日付けで「水産物の放射性物質検査に関する基本方針」を策定し、調査対象を沿岸性の魚種(スズキ、カレイ等)から広域回遊性魚種(カツオ、イワシ等)にも広げ、原則週1回調査を実施するなど、関係県や関係業界と連携し、水産物の放射性物質調査の強化を図っています。
水産物の放射性物質調査結果や水産物への影響については、当省のホームページにて公表しており、今後とも、消費者の皆様への正確で分かりやすい情報提供に努めてまいります。
○水産庁ホームページ
「水産物についてのご質問と回答(放射性物質調査)」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/index.html************************
株式会社町田予防衛生研究所
TEL:042-725-2010
URL:http://www.mhcl.jp
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